ブログやSNSはいけるのに、なぜかメルマガだけが下手なAI
ブログの構成案やSNSの投稿文作成において、Geminiは本当に頼りになります。特にSNS投稿は、そのまま使えるほどのクオリティです。
そこで私は、過去のメルマガの件名や本文を参考として渡し、「口調や文章の長さを合わせつつ、新作ブログの告知に合ったものを作成して」とプロンプトで細かく条件を指定して執筆を依頼しました。しかし、数秒後に出力された結果は、以下のように「絶望的」なものでした。
- 「開いてみよう!」と思えない、ブログのようなタイトル
提案してくるメルマガ件名がどれもブログ記事のタイトルのようで、よくあるメルマガ感がすごい。読者の興味を惹くフック力もありません。
- 使う単語がいちいちダサくて面白くない
「設計思想」「ノウハウ」「不可欠」など、どこかで見たような小綺麗な単語ばかりを使ってきます。血の通った面白さがなく、読んでいて退屈です。
- 「前半をキャッチーに」という構造指示が通じない
メルマガは件名やプレビューテキストの後半が省略されやすいため、前半に目を引くワードを入れてと指示しますが、頑なにその構造にしてくれません。
論理的な指示を出せば、ブログやSNSではあれほど完璧に応えてくれたAIが、メルマガになると急に表面的な文章しか書けなくなってしまうのです。
何度やり取りしても「いいじゃん!」と思える案が出ない。これなら自分でゼロから書いた方が圧倒的に早い。そんな徒労感ばかりが募っていきました。
▼当社マーケティング部でのAI活用のリアルをご紹介!
メルマガ執筆で露呈した「AIの仕組み」の壁
どれも無難でつまらないAIの提案を眺めているうちに、ふと元エンジニアとしての思考が働き、根本的な原因に思い至りました。
私はAIの活用知識を問う「G検定」を取得しているのですが、そこで学んだAIの学習プロセスや構造と照らし合わせてみると、生成AIの出力メカニズム自体が、メルマガで求められる文章と構造的に噛み合っていないのでは?という結論に行き着いたのです。
その根本的な理由は、大きく3つあります。
- 世の中の「つまらないメルマガの平均値」を全力で出してくる
過去の膨大なデータから一番よくあるパターンを正解として出力します。世の中の企業メルマガにはお堅い定型文が溢れているため、AIはそれを真面目に学習し、結果として「どこかで見た、ダサくて退屈な単語」ばかり並べてしまうのです。
- 「行儀の良い文章」に縛られて、あえて崩すことができない
AIは挨拶から始まり綺麗にまとまる「優等生な文章」を極端に好みます。そのためメルマガ特有の「前半に目を引くワードを入れる」「定型を崩す」といった変則的な構造を指示しても、頑なに定型を保とうとして全く融通が利かないのです。
- 綺麗にまとめるのは得意でも、「感情を動かすフック」は作れない
読者が自分から情報を求めるブログなら、AIが得意な論理的な情報の整理がそのまま活きます。しかし、日常に割り込んで気を引くメルマガにおいて、理屈ではなく人間の感情を動かすフックを作ることは、AIには圧倒的に不向きなのです。
よく考えれば、AIがキャッチコピー作りを苦手としているのも、全く同じ理由だったのです。
この「AIの仕組み」とメルマガで求められる役割の決定的なズレに気づいた時、私はAIへのアプローチを180度変える必要があると気づきました。
AIを「執筆者」から「壁打ち相手」へ配置転換する
「キャッチーなメルマガをAIに書かせる」というアプローチ自体が、仕組み上そもそも不可能だった。
その事実に気づいた私は、Geminiへのプロンプトを根本から変えることにしました。AIを「完成稿を出力する執筆者」として扱うのをやめ、自分の思考を整理し、質を高めるための「壁打ち相手」へと配置転換したのです。
①あえてつまらないタイトル案を出させ、反面教師にする
白紙からタイトルに悩むより、まずはAIにタイトル案を出させます。
画面に並ぶ退屈な案を見ることで「このタイトルじゃ開封されない。こう崩そう」と自分なりのキャッチーな件名が一瞬でひらめくのです。
AIの案を反面教師にすることで、格段に早く自分なりの答えに辿り着けます。
②ゼロから書かせず「添削」に使う
次に、AIの用途をゼロからの生成から添削へ切り替えました。
自分の書いた文章を投げて「添削して」と頼むのです。真面目で綺麗な文章が得意なAIの性質は、自ら文章を書かせるより、人間の文章を整える場面で威力を発揮します。
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結論:「キャッチーな表現」は人間に、「文章の添削」はAIに!
つまらない案を反面教師にして自分なりのキャッチーな表現を引き出し、文章の仕上げはAIに添削させる。 この役割分担に行き着いたことで、メルマガ作成に悩む時間は激減し、AIっぽさのない読まれる文章を爆速で書けるようになったのです。
IT企業の内製チームだからこそ見えた「これからのAI活用」
今回の一連の試行錯誤を通して、IT企業の内製マーケティングチームである私たちが実感したこれからのAI活用の姿。それは、AIに一発で完璧な回答を期待するのをやめ、技術の特性を理解した上で人間と役割を分担する相棒として活用していくことでした。
AIが得意なパターン処理やロジックの整理に役割を任せ、人間は目的の設定や独自の視点の付加、最終的な判断に集中する。このように技術の裏側にある仕組みを正しく見極め、現場で機能する形へとプロセスを組み替えていく姿勢こそ、私たちシー・エス・エスが技術と向き合う上で最も大切にしていることです。
これからのAI時代、成果の差を生むのはツール選びではなく、仕組みを理解してどう使いこなすかです。テクノロジーに振り回されることなく、その本質を捉えコントロールしながら、私たちはこれからも確かな価値を生み出していきます。