証券システム開発でエンジニアが最初に戸惑うこと
私自身、以前はエンジニアとしてさまざまな開発現場に携わった経験があります。
新人の頃に大きなプロジェクトに参画した際、打ち合わせで業界特有の業務ルールや専門用語が当たり前のように飛び交い、ITスキルだけでは会話についていけず戸惑ったことを今でも記憶しています。
こうしたその業界「ならでは」の専門知識への戸惑いは、どの業界でもつきものです。
証券システムの開発現場も例外ではなく、プロジェクトに参画したばかりのエンジニアは、プログラミング技術よりも先に業界特有の構造に直面しやすいのです。
現場でエンジニアがつまずきやすい代表的なポイントは、主に以下の3点です。
- 専門用語の多さ
「約定」や「受渡」「名義書換」など、日常では使われない専門用語が飛び交うため、まずは言葉の定義から覚える必要があります。
- 取引プロセスの複雑さ
注文から約定、清算、受渡に至るまでの工程が多く、データの状態がどう変化していくのか全体の流れを掴むのに苦労します。
- 外部連携の多さ
取引所や証券保管振替機構(ほふり)、銀行など外部機関とのデータ連携が前提となるため、影響範囲の把握に時間がかかります。
多くのエンジニアは、日々の実務を通じてこうした知識を吸収し、システム全体を理解していきます。エンジニアが業務知識を身につけ、お客様と「共通の言語」を持てるようになることは、システム要件について深く議論していくための重要な土台となります。
証券システム特有の仕組みとその背景
エンジニアがお客様と「共通の言語」を持つことは重要ですが、そもそも証券システムの全体像を把握するのは容易ではありません。
なぜなら、証券システムは単なるデータ管理ツールではなく、頻繁な法改正への対応や、金融商品ごとに異なる取引ルールが厳密に組み込まれているからです。さらに、証券と現金を正確に受け渡す「決済」の手続きなど、複数の制度が複雑に絡み合って動いています。
こうした証券システム特有の複雑な仕組みや全体構造については、過去の記事で体系的に解説しています。ぜひこちらもご参照ください。
▶【関連記事】: 【保存版】証券システム開発の教科書|基本構造からFISC安全対策基準まで
業務の理解度を客観的に示す資格の価値
実務経験を重ねればエンジニアの知識は確かに深まります。しかし、私たち開発側が「業務をよく理解しています」と経歴や言葉で伝えるだけでは、お客様に対する客観的な証明にはなりません。
そこで価値を発揮するのが、業務知識のレベルを客観的に裏付ける専門資格です。
単なる現場経験とは異なり、資格を取得することには以下のような明確なメリットがあります。
- 知識の客観的な証明
金融商品の仕組みや関連法規を体系的に理解している事実をあらかじめ示せるため、お客様はイチから業務を教える手間を心配することなく、要件定義をスタートできます。
- 知識の偏りの解消
過去の案件で経験した部分的な知識にとどまらず、資格学習を通じて金融や会計のルールを体系的に身につけています。そのため、お客様からの新たな機能要望に対しても、資格で得た知識を活かして的確なシステム設計へと繋げることができます。
そこで私たちシー・エス・エスでは、エンジニアがITスキルに加えてこうした客観的な業務知識を備えられるよう、以下の金融系資格の取得を全社的に支援しています。
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取得を支援している主な資格
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証券システム開発への活かし方
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証券外務員
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金融商品の種類や売買ルール、関連法規を網羅し、証券業務の前提知識として活用する
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証券アナリスト
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企業価値の評価や投資分析の知識を持ち、より高度な金融情報システムの要件定義に活かす
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日商簿記
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財務諸表や仕訳のルールを理解し、システム裏側の会計処理や決済フローの設計に反映させる
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FP(ファイナンシャル・プランナー)
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ライフプランニングや税制の知識をもとに、個人投資家向けサービスのユーザー視点を養う
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▶当社の支援制度の対象資格について詳しくはこちら
もちろん、資格取得だけで必要な業務知識のすべてを身に着けることは難しいものですが、資格という客観的な裏付けを持つことは、エンジニアがお客様と「共通の言語」で対話し、システム開発をよりスムーズに成功へと導くための大きな助けとなります。
業務知識を備えたエンジニアが支える開発体制
これまでお伝えしてきた通り、証券システムの開発では、プログラミング技術と同じくらい専門的な業務知識が求められます。
当社はおよそ50年にわたり証券業界のシステム構築に向き合う中で、要件定義などの上流工程から、業務知識を備えたエンジニアが参画する開発体制を大切にしてきました。
社内で金融系資格の取得を全社的に推進しているのも、まさにこの体制を機能させるためです。資格という客観的な裏付けを持ったエンジニアが初期段階からプロジェクトに加わることで、お客様にイチから業務を説明していただく時間を省き、「共通の言語」で的確なシステム設計の議論に集中できます。
今後システム開発においてAIなどの最新技術が普及していくからこそ、そうしたツールを活かしてお客様の要望を実現するためには、やはりエンジニアの業務理解がベースになると考えています。私たちシー・エス・エスはこれからも、コードを書く技術を磨くのはもちろんのこと、お客様の業務を深く知る努力を惜しまず、システムの開発を土台から支えてまいります。