2026.7.8
マーケチームが自製!Geminiと作った「アクセス解析・自動分析システム」の裏側
こんにちは!株式会社シー・エス・エスのマーケティング担当・神子です。
私は以前、データ分析エンジニアとしてSASを用いた解析業務に携わっていました。現在はその経験を活かし、マーケターとしてコーポレートサイトの運用やコンテンツ発信、アクセスデータを用いた効果検証などを担当しています。
マーケティングの現場において、多くの担当者が頭を悩ませるのが「施策を打ちっぱなしにしてしまい、効果検証が追いつかない」という問題ではないでしょうか。
データの重要性はわかっていても、日々の運用業務に追われ、複雑な解析ツールと格闘する時間を確保するのは簡単ではありません。
当社のマーケティングチームも例外ではありませんでした。
そこで私は「アクセス解析から次の打ち手の提案まで、すべてAIに自動でやらせたら面白いのでは?」と考え、自分でシステムを組んでみることにしました。
今回は、開発部門の手を借りることなく構築した「アクセス解析・自動分析システム」の舞台裏とその成果をご紹介します!
数字とグラフだけでは動けない!直面した3つの壁
マーケティングにおいて、施策を打ち出した後の「効果検証」はもっとも重要なプロセスです。ユーザーの反応を確かめ、データを基に次の改善につなげるPDCAサイクルを回してこそ、サイトやサービスは健全に育ちます。
しかし、いざ実践しようとすると、私たちの前にはいくつもの「壁」が立ちはだかっていることに気がつきました。
- 時間の壁
日々の運用に追われる中、毎日わざわざアクセス解析の管理画面を開き、状況をじっくり読み解くための時間を確保するのは物理的に困難な状態でした。 - スキルの壁
現在、世の中で広く使われている「Googleアナリティクス」などの解析ツールは、多機能な反面、画面が複雑です。慣れていないメンバーにとっては、数値を一つ追うのも一苦労です。 - 心理の壁
レポートツールでまとめた表やグラフを共有する案も考えましたが、データの読み解き方が分からなければアレルギーを感じ、結局誰にも見られなくなることは明白でした。
単にレポートを自動配信するだけでは、このデータに対するアレルギーは解消できません。実際、普段のチーム会議でも「データを見てもよくわからない」という本音が上がっており、専門知識がなくても簡単に効果検証ができる仕組みが必要だと痛感していました。
そこで、データの収集だけでなく、そのデータから何が言えるのかという分析までをAIにまるっと任せる仕組みの構築に取り掛かることにしたのです。

すべてGoogleで完結!AIと二人三脚のシステム構築
どうすれば最速で、かつ実用的なシステムを作れるか?
そう考えた私が開発の軸に据えたのは、「外部の複雑なシステムを導入するのではなく、普段から社内で利用しているGoogle Workspaceの環境を活かすこと」でした。
試行錯誤の末に行き着いたのが、次のようなスマートな自動化の流れです。
- Data Studio(旧Looker Studio)が、毎朝自動でGoogleアナリティクスの最新のアクセスレポートをPDF化してメール送信。
- GAS(Google Apps Script)がそのメールを検知し、自動で共有ドライブへと格納。
- Gemini API(Google AI Studio)を呼び出し、保存されたPDFを直接読み込ませて自動でレポートを分析。
- Google Chatに、PDFレポートと共にAIが導き出した分析結果をWebhook経由で自動投稿。

私自身、プログラミングの実務にはブランクがあったため、ここでもGeminiをフル活用!
実行時間の制限対策やエラー時の自動リトライなど、運用上の細かな例外処理はすべてGeminiとチャットで壁打ちしながらコードに落とし込みました。
また、Gemini APIに渡すプロンプトの調整もGeminiとの共同作業で進めました。
何度も壁打ちを繰り返しながらプロンプトを作り込んでいく中で、単にデータを言語化するだけでなく、一歩踏み込んで「次に起こすべき具体的な改善策(アクションプラン)」まで提案させる仕組みにしよう!という着想に至り、設計に落とし込みました。
こうしてAIと二人三脚を組むことで、開発部門にお願いすることなく「アクセス解析・自動分析システム」を完成させることができたのです。
現在、この仕組みはコーポレートサイト、採用サイト、自社SaaS「Qube」の3つのメディアで平日毎日稼働しています。
「よくわからない」から「これ試そう!」へ。チームの議論を変えたAIの提案
システムが稼働し始めて届いたのは、単なる数字の羅列ではなく、私たちの想像を遥かに超える具体的なアドバイスでした。

毎朝、このような文章がチームのグループチャットに自動投稿されます。
全体の構成は、大きく分けて以下の3部構成です。
- 主要数値の推移(コンバージョンに絞ったシンプルな進捗)
- AIのディープ考察(データの裏にあるユーザー心理の分析)
- 推奨アクション(今すぐ起こすべき具体的な施策案)
特に秀逸なのが「推奨アクション」です。
例えば、アクセスはあるのに反響が得られていない技術ブログに対し、「読者は技術を学んで自己解決したい心理状態なので、今のコンバージョン(お問い合わせ)はハードルが高すぎる」といった、数値の裏側にあるユーザー心理まで踏み込んで提案してくれます。
これにはチーム一同、確かに!と深く納得。
「データを見てもよくわからない」と固まっていたチームが、この提言をきっかけに一気に「じゃあどう形にする?」と動き出しました。数字の解読をすっ飛ばして、次の打ち手を決める会議へシフトしたのです。
実際に、このAIの提案を基にチームで採用した取り組みがこちらです。
- コーポレートサイト訪問者の心理に合わせた「マイクロコンバージョン」の設置
- 自社SaaS「Qube」でのイベント開催導線の強化(開発チームへの提案)
- エンジニア執筆ブログの「役割転換」(開発案件受注から、採用のための位置づけへ)
時間がない。ツールが難しい。見てもよくわからない。
この3つの壁を、AIを活用することで私たちは一気に突破することができました。
創業50年のIT企業が全社で挑む、AIへの実践
シー・エス・エスは創業50周年を迎えるIT企業ですが、歴史に甘んじることなく、開発部門以外でも積極的にAIを取り入れ実践する姿勢を大切にしています。今回のマーケティング部門による自動化も、そうした「全員が技術の進化を楽しみ、現場発で形にする」というカルチャーがあったからこそ実現しました。伝統を守りつつ、全社で常に新しい挑戦を続けていく。これこそが、私たちの強みです。
数字を「眺める」もどかしさから、次の施策を「仕掛ける」手応えへ
冒頭でお話しした、施策が打ちっぱなしになり効果検証が追いつかないという悩み。
かつてデータ分析エンジニアとして数字と格闘していた私だからこそ、データを収集して整形し、そこから意味のあるインサイトを絞り出すことがどれほど労力がかかるか、身に染みて知っています。日々の運用業務に追われるマーケターがそこまで手が回らないのは、当然の現実でした。
今回構築したシステムは、そんな私たちの状況を一変させてくれたのです。
もちろん、AIの提案は決して100%の正解ではありません。時には的外れな内容もあります。だからこそ、それを優秀なたたき台として人間が主体的に取捨選択し、使いこなすスタンスが重要です。これにより、ただ数字を前にして悩むもどかしい時間は消え去り、マーケター本来の使命である次の施策を仕掛けることに、しっかりと注力できるようになりました。
まだまだAIに任せてみたい作業はたくさんあります!
これからもシー・エス・エスのマーケティング担当として、歴史あるIT企業の技術力を味方に、AIを相棒に攻めのマーケティングを仕掛けていきます。
ご期待ください!
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この「アクセス解析・自動分析システム」を含む、当社のマーケティングチームのAIを活用した取り組みを紹介しています!
この記事の著者
神子 優(Kamiko Yu)
2016年新卒入社。結婚を機に一度退職しましたが、2025年に再入社で戻ってきました!
当時はデータ分析エンジニア、現在はマーケティング担当。
Geminiとはよく壁打ちをしますが、こちらの考えを伝えるとすぐに意見を変えてきます。プロンプトエンジニアリング、大事ですね。





